『フランス外人部隊 その実体と兵士たちの横顔』レビュー

本記事では、私がkindle unlimitedで読んだ、野田力 著『フランス外人部隊 その実体の兵士たちの横顔』(角川新書)をレビューします。

あらすじ

 著者の野田力氏は、2004年から6年半、フランス外人部隊に所属していました。最初の契約年数が過ぎた後も、志願して契約を延長したとのことです。
 もともと自衛隊への入隊を希望していたそうですが、それが叶わず、フランス軍への入隊を試みたようです。
 基礎訓練を経て、パラシュート部隊(空挺部隊)の所属を経て、最終的には衛生兵となり、アフガン戦争には衛生兵として従軍しています。とくにアフガン従軍では、実際に銃弾が飛び交う戦場を経験されており、リアリティのある戦場の様子が伝わってきます。
 退役後は、日本で看護師の資格を取り、軍隊経験を伝える活動をされているようです。

見どころ

 これまでも、外国の軍隊に入隊した日本人の著作はいくつか読んできました。フランス外人部隊や米軍です。日本人が、日本国籍をもったまま外国の軍隊に入隊できるということに驚きます。純粋に珍しい体験ですので、それだけで読む価値があります。この作品のとくに面白いところは、訓練や戦場の記録にページを割くのではなく、日常的な雑用について詳しく記述しているところですね。
 こういった本を読めば、自分もやってみようと挑戦する人が出てくるのでしょうが、そういった人たちのために現実を知ってもらおうという著者の誠実な性格が読み取れます。
 6年半で、二等兵から始まって、最終的には上級伍長という階級まで昇進したそうです。派手な戦争映画ばかり見ていると、二等兵も伍長もただの「下っ端」みたいに思えてしまうのですが、実際には大違いで、階級が上がるにつれて軍隊での生活が変化していくさまもみどころの一つでしょう。

要望

 もっとお金を払ってもいいから、もっと話を聞きたい。そう思えるような作品です。日常の些細な話でも、普通の日本人にとってはすべてが新鮮で驚きに変わるので、ネタは尽きないのではないかと思うのですね。
 とくに、フランスや派遣先のアフリカで日本人と接するシーンがいくつかあるのですが、一般の日本人がどのような反応を見せ、どのような会話になったのかを詳しく読みたかったです。
 まだ他の著作は無いようですが、ぜひ2作目を出してほしいですね。

 私はkindle unlimitedの読み放題で読みました。このような作品が読み放題で読めるなんて良い時代です。